尺越えアマゴをバラして絶望していたら尺アマゴに慰められる

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尺アマゴ

 

そろそろ尺アマゴが出る時期だ。

この時期をずっと待っていたのだ。

 

僕には5年以上続けている事がある。

それは3行日記のようなものを毎日書く事だ。

 

別に釣りのために始めた日記では無いけれど、釣りにすごく役立っている。

 

というのも1年前や2年前にいつどこに行って何が釣れたかが確認出来るのだ。

 

ここ最近、その日記を読み返していた。

そして釣行のプランを立てた。

 

この時期のあの場所に行けば、尺アマゴに出会える可能性はある。

そう思って週末の釣行場所を狙い澄ましていたのだ。

 

尺アマゴを狙って!

 

休日の午前5時。

僕は狙い澄ました釣り場に立っていた。

 

スプーンのサイドやダウンで少しずつ釣り下がって行く。

 

釣り始めてすぐにアマゴがかかった。

しかしかかった瞬間に跳ねられてバレた。。。

 

20㎝後半くらいはありそうな、わりと良いサイズだった。

 

満を持しての釣行なのに、あっさりと良型をバラした事に少し焦った。

 

そして釣り下がる。

何かおかしいと思った。

 

一発目のバラシから反応がない。

この時期のこの場所はもっと釣れるはずだ。

 

何かおかしい。

近い日に誰かが入ったのかな?

 

そう思いながら釣り下がる。

 

いつも反応があるような流れの集まる場所も静まり返ったままだ。

 

正直言うと、

 

「魚は抜かれてしまったのかな?」

 

と油断していた。

 

そんな中、なにげに投げた一投。

水深30㎝くらいの浅い場所でのバイトだった。

 

グンッとトラパラに手応えを感じた。

最初はサイズ感が分らなかった。

 

どんなサイズがかかったのか?

そう思っているとロッドの手応えがやけに重い。

 

浅い場所なので、魚影が一瞬見えた。

 

デカい!

尺、いや35㎝以上はありそうだ!

 

嘘だろ!?

こんな浅い場所にこのサイズがいるのか!?

 

驚いている暇はなかった。

デカい魚がかかっているのだ。

 

このサイズでダウンだと、寄せるのは厳しい。

自分が魚に向かって下って近付きながらリールを巻く。

 

驚いたのはロッドの手応えの重さ。

それにその手応えのまま浅い流れの底に張り付くように動かない魚の力だ。

 

この流れの中で定位しながらこの手応え。

まるでわがままを通すかのように動かなかった。

 

少しずつ自分から釣り下って近付いた。

 

やはりデカい。

こいつはバラしたくない。

 

朝一のバラしが頭をよぎった。

勝負を焦った僕は魚を寄せにかかった。

 

少しずつ近くに寄って来た。

僕も流れの中に立ち込んでいたが、流れの中をすぐ近くまで寄せた。

 

ひるがえった時の色でアマゴだとわかった。

 

ネットを手にするのに手間取っている間に、アマゴは流れの中で僕の膝と数センチまで寄ってしまった。

寄せすぎてしまった事に焦った。

 

流れの中にネットを近付ける。

するとアマゴが暴れた。

 

一回ですくえなかった。

しまった!僕はさらに焦った。

 

ネットに気付いたアマゴはローリングを続ける。

もう一度すくおうとネットを近付けて数㎝~10㎝になった瞬間、

 

フッと手応えが緩んだ。

 

35㎝くらいは絶対ある。もしかしたら40㎝近かったかもしれない。

そんなアマゴをネットから数㎝でバラしてしまった。

 

僕は叫んだ。

 

「ああああぁぁぁぁ~~~~!」

 

左手に掴んでいたネットを水面に叩き付けた。

そんな事をしたのは初めてだった。

 

足が震えていた。

足が震えたのは63㎝の大ニジマスを釣った時以来だ。

 

しばらく呆然として、それから奥歯を噛みしめた。

何が悔しいって、このアマゴはキャッチ出来たはずだった。

 

足元まで寄せた。

でもそれは勝負を焦っていた。

 

バラしを恐れて、早くネットインにもっていきたかったのだ。

 

35㎝以上は確定の尺越えアマゴに対して勝負を焦った。

その時点で、勝敗は付いていたのかもしれない。

 

僕の自己記録は35㎝の尺アマゴだ。

今回のアマゴは最低でも同じくらいの35㎝か、40㎝近くあるかもしれない大アマゴ。

 

その大アマゴを釣るチャンスを、足元で逃したのだ。

 

悔しい。

悔しい。

悔しい。

 

あんな浅い場所にあんなに大きなアマゴがいるなんて。

振り返ると、かかる前から油断していた。

 

予想外の場所で予想外のサイズがかかったのだ。

 

だけど、この日は尺アマゴを釣りにきた。

尺アマゴを釣りに来たのに尺越えアマゴがかかってバラした。

 

泣きそうになりながら自分のタックルをじっと眺めた。

 

尺アマゴ

 

バラしたのはタックルのせいじゃないのは、自分が一番わかっていた。

 

取り込みの、僕のミスだ。

もたついたり焦ったりして釣れていたはずの大物をバラしたのだ。

 

焦らずに、もっと流れの緩い場所に誘導してからネットインすれば良かった。

そうすれば一回ですくえていたかもしれない。

 

最後の取り込み前にラインもたるませてしまった瞬間があったかもしれない。

 

立ち尽くしたまま、ずっと色んな後悔をしていた。

川の中に一人でたたずんで、涙が出そうになっていた。

 

もう帰ろうかなと思った。

帰ってビールを浴びるように飲んで寝ようかと思った。

 

なんだか魂が抜けたようになって力が出ない。

 

だけど釣りを続ける事にした。

時刻はまだ、午前5時台。

 

僕は経験として知っている。

大物が釣れる日は、大物が続く事があるのだ。

 

昨年だって尺アマゴが釣れてからもどんどんアマゴがかかった日があった。(バラしたけど)

(参考ブログ:スプーンで尺アマゴ!の後に喜びが消し飛ぶ出来事が!)

 

折れかけた心を奮い立たせて、釣りを続けた。

 

なんだか足が重く感じるが、魚が出る日は何匹も出る。

出来るだけ集中力を保とうと思った。

 

それから2匹ほど、20㎝と20㎝半ばのアマゴが釣れた。

だけど僕の頭や手には先ほどの尺アマゴの手応えが残っていた。

 

釣れてくれたアマゴには申し訳ないのだが、どうしても比べてしまった。

なので写真も撮る気にならなかった。

 

釣りを続けながらも、尺越えアマゴをバラした映像がフラッシュバックのように頭に浮かぶ。

下唇を噛みながら釣り下がった。

 

実績のあるポイントに到着した。

スプーンを投げて、沈める。

 

グンッと重い手応えを感じた。

この手応えは良いサイズのはずだ。

 

先ほどのバラしを思い出した。

絶対に取り込みを焦らない。無理に寄せない。

 

少ししてから魚影が見えた。

 

尺ありそうなサイズだ。

焦るなと自分に言い聞かせる。

 

無理に引かない。

流れの中から出して緩いところに誘い込む。

 

ネットイン!

 

釣れたのは、31㎝の太い尺アマゴだった。

 

尺アマゴ

 

トラパラ(ロッド)と撮った写真。

 

ロッドちょっとしか映ってませんでした。

尺アマゴ

 

今シーズン初の尺アマゴで、トラパラでの初の尺アマゴでもある。

だけど複雑な気持ちだった。

 

ついさっきバラした尺越えアマゴの方が一回り以上は大きかったからだ。

 

釣れて嬉しいはずの尺アマゴ。

その尺アマゴを見つめながら渋い顔をしていたのかもしれない。

 

そんな僕を見て、尺アマゴが語りかけてきたのだ。

(注:ここからは僕の妄想です)

 

以下、尺は尺アマゴ、(  )の中は僕の心の中です。

 

尺:「なんだよその顔は?釣れたのが俺じゃ不満だったか?」

 

僕:(ドキッとして)

「い、いえ。尺アマゴが釣れてくれたのは嬉しいです」

 

尺:「無理すんな。わかってるよ。さっきの大きなアマゴだろ?」

 

僕:「えっ!バラした事を知ってるんですか?」

(尺アマゴは何でも知っているんだ)

 

尺:「そりゃ知っているよ。それにしても惜しかったな。あんな大きな奴は中々いない」

 

僕:「そうなんです。あんな大きなアマゴにはもう会えないかもしれません」

 

尺:「なんだお前、渓流釣りやめるのか?」

 

僕:「い、いえ。渓流釣りはやめません」

 

尺:「だったらまたいつかどこかで会えるよ。俺は中々いないと言ったんだ。居ない訳じゃ無い。数は少なくても大アマゴは必ずいるんだ」

 

僕:「でも、でも、あんなアマゴは初めてで、、、もうちょっとだったのに」

 

尺:「お前がよくバラすのは知っている。20㎝代もよくバラすのに、尺越えだけを全部バラさずに釣れるはずがないだろう?」

 

僕:「そ、それはそうですが。。。」

(尺アマゴは正しい事を言うなぁ)

 

尺:「お前が少しずつ、尺を釣ったり出来るようになっているのは知っている。ここ数年で少しは上手になってるよ」

 

僕:「あ、ありがとうございます」

 

尺:「大物バラしたからって、シングルバーブレスもやめないんだろ?」

 

僕:「はい。それに今回のはバーブレスがどうとかじゃなくて僕の取り込みミスです」

 

尺:「お前はお前らしく、泣いたり笑ったりしながら釣りを楽しめばそのうち良い事あるよ。後ろを向くなよ。向くなら前か上を向け」

 

僕は黙って頷いた。

 

尺:「ちょっと長く話し過ぎた。そろそろ川に戻っても良いかな。リリースしてくれるんだろう?」

 

僕:「あっ、はい。なんか色々とありがとうございました」

 

尺:「これからは釣った魚にあんな苦虫をかみつぶしたような顔をするんじゃねえぞ。じゃあな!」

 

リリースして、

僕の脳内会話、終了!

 

太い尺アマゴは、僕を慰めてくれたのだ。

(あくまで僕の妄想の中で)

 

脳内で尺アマゴとそんな会話をしていたと想像しながらリリース動画をご覧下さい。

 

スマホで見た方が綺麗です。

 

そして大物をバラシて尺アマゴと(脳内)会話をしてから何日かが経った。

 

バラした悔しさは一晩寝たら収まるかというとそんな事はなく、バラした瞬間の映像が何度もフラッシュバックのように頭に流れる。

 

リベンジに行きたい。

だけど僕にはわかっている。

 

リベンジと言って同じ場所に釣りに行っても、一度バラした大物渓魚が釣れる事はほぼない。

 

それに時期的に今回のアマゴは移動している途中のアマゴだったのだ。

 

雨も降ったし、もうあの場所にはいないと思う。

 

それがわかっていて、

しかしそれでも、

 

もう一度同じ場所に行ってルアーを投げないと気が済まないのだ!

 

釣り人の気持ちと言うのは、理屈で割り切れるものではないのだ。

 

またあんな大物に会いたい。

そして今度は釣り上げたい。

 

またせっせと川に足を運ぶ理由が増えたのだ。

まあそんな事がなくても、結局は川に足を運ぶのだけど。。。

 

今回バラした尺越えアマゴと慰めてくれた尺アマゴとの出会いにはすごく感謝している。

 

だけど、

釣り上げたかったなぁ。(涙)

 

(使用タックル)

ロッド:TXS-762ML

リール:シマノ  16ストラディックCI4+ C2000HGS

ライン:デュエルアーマード F+ Pro 200m0.8号ゴールデンイエロー

リーダー:モーリス ストリームショックリーダー30m 8lb

ルアー:ライトニングウォブラー 7g  

 

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↓本流でお気に入りのスプーンです。

 

↓最近買ったロッドです。

 

           

コメント

  1. あざらし より:

    尺アマゴとの会話おもしろすぎです(^^)尺アマゴの全能感がたまらないですね(笑)今度リベンジでばらしたアマゴ狙いにいきましょう!北海道の私の住んでる地域では6月からヤマメが解禁になるので尺ヤマメ狙いたいと思います(^-^)最近ばらしが多くなったのでバーブ有の針にするか揺らいでましたが、今回の尺アマゴのセリフで、やっぱりバーブレスを貫こうと決心しました!

    1. しげる より:

      あざらしさん
      尺アマゴはなんでも知っているんですよ(^^)
      楽しんで頂けて嬉しいです(#^^#)

      はい!リベンジには行かないと気が済まないですね(^^)

      6月からヤマメ解禁なんですね!
      トラウト王国北海道を楽しんで下さいね(^O^)

      バラしが増えるとバーブ有を検討するの、わかります。
      釣りなので、フックは自分が使いたい、使っていて気持ちの良いフックで釣るのがいいと思います。

      僕は自己満足かもしれませんが、シングルバーブレスで釣ろうと思っています。

      気持ちの良い釣りを楽しみましょう(*^^)v

  2. きんくま より:

    しげるさん、こんにちは!
    釣り人あるあるですね。超大物を逃したのは非常に残念ですが、そのあと尺アマゴをしっかりキャッチできたのも、大物逃しでの経験値が上がりレベルアップしたからではないでしょうか!? 
     バラシしが多い日は自信を失い、次も次もなんて後を引きがちです。最後にきっちり獲ったので次回の釣行はバッチリ超大物捕獲できます‼︎
    釣果報告期待してます。
    追伸、脳内コミニュケーション面白かったです。ニュータイプかと思いましたw

    1. しげる より:

      きんくまさん
      釣り人あるある、共感頂けて嬉しいです(#^^#)

      いやほんと、デカいアマゴでした。。。(>_<) ですがたしかに、大物を焦ってバラしたのがあったので後の尺アマゴには落ち着いて対応出来ました(^^) バラしが多い日ってほんとに自信がなくなりますよね。自信がなくなるとさらにバラしての悪循環。。。 尺アマゴ釣れたので少しはメンタル回復しました(;^ω^) 釣れても釣れなくても、リベンジしてきます(^^) 脳内コミュニケーション、楽しんで頂けて嬉しいです(#^^#) いやほんと、尺アマゴは何でも知っているし人格者(魚格者?)でした!(^^)!

  3. 花屋のいちろー より:

    手元まで寄せていて後はネットに入れるだけ…そんな状況でのバラし( >Д<;)。メンタルダメージは計り知れませんね(._.)
    でも、焦った時点で既に勝負はついてしまっていたのかもしれませんね(>д∀<*)ノ

    1. しげる より:

      花屋のいちろーさん
      そうなんですよ(>_<) バッチリとれていたはずの大物を、自分が焦って取り込みミスした結果バラシてしまいました。。。 悔しくて悔しくて、しばらく呆然としていました。 でも尺アマゴと(心の中で)会話して少し落ち着きました。 大物相手に焦ったら駄目ですね(^_^;) 勉強になりました(>_<)

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