ラパラ解体新書を読んだ。ラパラは時の洗礼に耐えたルアー。

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ラパラ解体新書

 

『時の洗礼』という言葉がある。

 

この言葉は本や音楽、ルアーにもあてはめる事が出来る。

 

ラパラは時の洗礼に耐える事が出来た数少ないルアーなのだ。

 

時の洗礼

 

時の洗礼という言葉は、

  • 村上春樹さんの小説、
  • 『ノルウェイの森』の、
  • 永沢さんという人物の台詞だ。

永沢さんは読書家だが、死後三十年を経ていない作家の本は原則として手に取ろうとしなかった。

 

その理由を引用する。

「俺は時の洗礼を受けてないものを読んで貴重な時間を無駄に費やしたくないんだ。人生は短い」

 

↓ノルウェイ。ダンス×3も好きです。

 

時の洗礼に耐える事が出来るものは数少ない。

 

例えば本と音楽とルアー。

  • 日々大量の本が出版されて、
  • 多くの音楽が配信され、
  • 新しいルアーが発売される。

その中で三十年後も残っているものはどれだけあるのだろうか?

 

世に出た多くのものはすぐに消える。

 

一方で時の洗礼に耐える事が出来たものには、耐えられるだけの理由があると思う。

 

小説だと、

  • 夏目漱石や太宰治の小説は、
  • 70年~100年以上経っているが、
  • 今でも読まれている。

それはたぶん、時代が変わっても人間のある部分は変わらないからだと思う。

 

夏目漱石の小説の中にも、

 

「今時の若い人は」

 

という台詞がある。

(『坊っちゃん』の中の台詞だったと思う)

 

『人間失格』は今の時代を生きる人が読んでも心に刺さる。

 

じゃあルアーはどうだろうか?

 

魚だって、時代が変わっても本質的には変わらない部分があると思う。

 

ルアーのアクションだって、昔の魚にも今の魚にも響く変わらないものがあるはずだ。

 

だって僕はブレットンのスピナーが今でも良く釣れる事を知っている。

 

↓2個の値段です。

 

そしてラパラ。

 

ラパラは間違いなく時の洗礼に耐えたルアーだ。

 

僕は釣り歴が浅いけど、それでもラパラという名前は知っている。

 

高校生の時に数ヶ月だけバス釣りをしたが、バスでラパラを使った事はない。

 

それからずっと釣りはせずに、30代で渓流釣りにハマった。

 

そんな僕でもラパラの名前は知っていて、ジョイントミノーといえばラパラだという認識があった。

 

愛くるしいまん丸の目玉。

シンプルなカラーリング。

 

↓ラパラHPの画像。

ラパラ解体新書

そしてラパラと言えば、

 

ルアーの大半がバルサやアバシなどのウッド天然素材で作られているのだ!

 

実はラパラはバルサミノーなのだ。

 

ここ何ヶ月かの間、僕は初めてのジョイントミノー製作に励んでいた。

(ブログ参照)

 

↓本流用!(渓流用もあります)

ジョイントミノー改良

 

僕はバルサでハンドメイドミノーを試作していて、ラパラのミノーもバルサ。

 

ジョイントミノーの試作をしていて、ジョイントミノーと言えばラパラだ。

 

そんな僕が読みたかった本が、

 

『ラパラ解体新書』なのだ!

 

↓ラパラバイブルと読むらしい。

ラパラ解体新書

 

ラパラ解体新書

 

この本は絶版プレミア的な扱いなのか、ネットで探すととても高かった。

 

↓ラパラ解体新書

 

なので得意の図書館を駆使して読むことが出来た。

 

この本を読んで1番驚いたのが、

 

ルアーの内部構造が載っていることだ!

 

改めて本の表紙を見ると、すでに内部構造が載っている。

 

ラパラ解体新書

 

そして表紙だけでなく、本の中では代表的な24のモデルを断面図付きで紹介されているのだ!

 

いやこれ、驚きませんか?

 

僕は下手なりにルアーを作っている人間なのだけど、ルアーの内部構造ってめちゃくちゃ大事なのだ。

 

趣味で作っている僕ですら、自分のルアーの内部構造はブログに載せたくない。

 

たいして上手でもないが、それでも僕なりの経験や考えた結果でウエイトの配置などをしているからだ。

 

それがあのラパラですよ!

あのラパラが主要な24のモデルの内部構造を断面図で載せてるんですよ!

 

「いやほんとに良いのかな?」

って思った。

 

趣味とは言えルアーを作っている人間として、本の紹介はしたいけど断面図の公開は忍びない。

 

そんな気持ちでモザイクかけました!

 

ラパラ解体新書

 

モザイク無しで載せるのは、ルアーを作っている人間として出来ませんでした。

 

この本はラパラ好きだけじゃなくて、ルアーを作っている人にはとても参考になる本なのだ。

 

本の文章を書いているのは楠ノ瀬直樹さんという人だ。

恥ずかしながら僕は存じ上げなかった。

(2016年に享年56歳で亡くなられている)

 

バスフィッシングやルアー製作でレジェンドの方らしい。

 

そんな楠ノ瀬さんの文章は『ラパラ愛』に溢れていて、読んでいて楽しい気持ちになる。

 

この人は本当に、釣りとラパラが好きなんだと思った。

 

ラパラ愛を語ったり、ラパラのルアーの使い方やチューン方法なども書かれている。

 

ラパラ解体新書

 

とても共感したのは、ルアーのアクションについて書かれている部分だ。

 

あるラパラのルアーに対して、

 

「なんだか物足りないように感じるアクション。でもそれが魚にすごく効く」

 

というような事を書かれていて、僕は大きく頷いた。

 

楠ノ瀬さんとはレベルの差は天と地だが、僕もミノーは大きく動けば良いというものでないと思っている。

 

前述したように内部構造まで出ているラパラ解剖学や、さらにラパラを作ったラウリ・ラパラについてなどなど。

 

まさにラパラ解体新書なのだ。

 

ラパラ解体新書

 

ラパラの創始者ラウリ・ラパラの言葉は、時代が変わっても変わらない魚の本質を捉えていると思った。

 

だから時の洗礼に耐える事が出来るルアーを作れたのだ。

 

ラパラ解体新書

 

そして1936年(80年以上前!)に作られた、ラパラの第一号を見る事も出来た!

 

ラパラ解体新書

 

みなさんはこのラパラ第一号を見てどう思われただろうか?

 

今と違って80年以上前、ルアー作りの情報や道具もまるでない。

 

全てが手探りのそんな中で、今でも続くラパラの原型が作られている。

 

これは本当にすごい事なのだ。

 

だけど誤解を恐れずに言うと、

僕はなんだかラウリ・ラパラに親しみを感じた。

 

現代はルアー作りの情報や道具も溢れている。

それもあって、

  • SNSなどで「初めて作りました」と、
  • 写真がアップされているルアー。
  • それがものすごく綺麗だったりする。

僕は小学校の時に図画工作で1が付いたくらいの生粋の不器用だ。

 

なので他の方が、

 

「初めて作りました」

 

という綺麗なミノーを見ると、石川啄木的な気持ちになる。

 

石川啄木の有名な短歌に自分をなぞらえてしまうのだ。

 

「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」

 

(訳:ルアーを作っても作っても綺麗に作れない。自分の不器用な手をぢっと見つめる)

 

「友がみな われよりえらく 見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ」

 

(訳:何年も作っている僕のミノーよりも他の人が初めて作ったミノーの方がとても綺麗だ。今日はルアー作りはやめて嫁といちゃいちゃしよう)

 

「ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲はかくまでにがし」

 

違う!これは石川啄木じゃなくて寺山修司なのだ!

 

まあ、そのような(どのような?)気持ちなのだ。

 

なんだかラウリ・ラパラにも石川啄木にも寺山修司にも謝りたくなった。

 

繰り返すが、誤解を恐れずにいうとラウリ・ラパラに親しみを感じたのだ。

 

そしてルアー作りをもっと頑張ろうと思った。

 

僕はそれだけで、『ラパラ解体新書』を読んで良かったと思ったのだ。

 

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コメント

  1. あざらし より:

    ラパラ解体新書ってはじめて見ました!ここまで見せちゃっていいの?って感じですねΣ(゜Д゜)モザイクかける配慮しげるさんらしくて好きです(笑)昨日初の釣りに行きましたが坊主でしたが久しぶりの渓流は気持ちよかったです!

    1. しげる より:

      あざらしさん
      ラパラ解体新書はAmazonをさまよっていたら発見しました(^^)
      プレミア価格だったので図書館を駆使して入手できた時は嬉しかったです。

      ほんとにそうなんですよ!
      ここまで見せていいの?って思いました!

      ルアー作っているものとしてモザイク無しは出来ませんでした(^^)

      初釣りは坊主ですか(>_<) 個人的解禁日に坊主の僕と一緒ですね(^^) 渓流で釣るだけで気持ち良いですね! まだ始まったばかり!釣果はこれからです!(^^)!

  2. ヤング より:

    ラパラのウエイトはワイヤー一体型になってますね^ ^ 弱ってる魚を演出させたら右に出るものなし!なイメージです。自分も前の釣行時は、改良verの後方重心のテストで1日1カラーで釣り上がりました いいデータが取れたのでセッティングを煮詰めていきます! ミノー作っては、テスト..テスト..世のミノービルダーはみんな同じですかね(笑) 自分で楽しむ、販売してアングラーに楽しんで貰う、ここは何十年前経っても共通な気がします(*^ω^*)/

    1. しげる より:

      ヤングさん
      ラパラの内部構造、当たり前ですがさすがに色々と考えた結果の構造なんだろうなと思いました(^o^)

      1日1カラーですか!良いデーターが取れたのは嬉しいですね(^^)

      そうですね。何十年経っても共通の部分だと思います。

      ミノー作ってテストして、もっとこうしたらどうかと考えてまた試して、人生と商いとルアー作りは停まらない列車です(^^)

  3. きんくま より:

    「時の洗礼」か〜
    良いお言葉ですね。いつもしげるさんの言葉のチョイスにはドキッとさせられます。
     ラパラも一時オワコン的な扱いの時期もあったと思うのですが、今のルアーの祖、魚を釣るという本質を理解して当時作られたモノだから普遍、ロングライフデザインなのだと思います。 飛行機なんかでもステルス戦闘機全盛の時代でも、レシプロ機が求められ新型機が開発されたり、30年前の設計のものが退役せず、アップデートしながら現役で活躍しているなど、不思議なものです。 適材適所、運用次第ということですかね。 ラパラもバルサやウッドの持つ特性が今のインジェクションルアーには出せない、何か絶妙なアクションなどを醸し出すのかもしれません。 クラシカルなスタイル、シンプルで温かみのあるフォルム、愛嬌のあるペイントの目、昔からの釣り人はノスタルジーを感じ、新しい釣り人は新鮮さを感じるのかもしれません。
     しげるさんの生み出す不器用ルアー達はラパラと同じ様なピュアなにおいを感じます。
     ラパラ解体新書なる本は知りませんでした。ルアーを解剖学的に解説するアイデアは本当に素晴らしいですね。読んでみたいです♪

    1. しげる より:

      きんくまさん
      お褒め頂きありがとうございます(*^_^*)
      「時の洗礼」はノルウェイの森を読んだ20歳前後の時からずっと心に残っています(^^)

      飛行機の世界もそんな事があるんですね!

      ラパラも人によっては今のルアーに比べて飛ばないとか沈まないとかあるかもしれません。

      だけどラパラにしか出せない物があるから残っていると思います。

      それに、特に渓流ルアーは性能やスペックだけじゃないところがあると思います。

      オールドリールなども使って楽しむ方も多いですし、ただ釣りたいだけじゃなくて、

      「このルアーを使いたい!このルアーで釣りたい!」

      そう思える何かがラパラにはあるのだと思います。
      (僕はラパラは少ししか使った事がないので偉そうに語って申し訳ないのですが)

      不器用ルアーに素敵なお言葉ありがとうございます(*^_^*)

      ラパラ解体新書、オススメです(^_^)v

  4. ラオウのご主人様 より:

    時の洗礼・・。
    廃れる事のない本物を示す言葉ですね。
    二十数年振りにルアーフィッシングを再開した僕が初めに買い揃えたのはラパラでした!
    今でも毎回ケースにはラパラとドクターミノーのジョイント、ベアトリスは必ず持ち歩いてマス!
    正直言ってもっと良いミノーがたくさんあると思いますがいざと言う時にはジョイントラパラを使います。
    案外僕はロマン派なのかもしれません!(^o^)

    1. しげる より:

      ラオウのご主人様さん
      時の洗礼、その通りの意味です(^^)

      ラパラお好きですよね(^^)
      そしてジョイントミノーがお好きなんですね(^o^)

      いざと言うときに使うルアーになる。
      それがラパラのルアーの力だと思いました!(^^)!

  5. かわし より:

    ラパラ解体新書は、昔から読みたい本なんですが、やっぱり高くて、、。
    一度は手にしてみたいです。

    「今時の若いもんは」と言う言葉は、枕草子から登場していたんじゃなかったですかね?
    いつの時代も言われてるんですねー。

    1. しげる より:

      かわしさん
      図書館を探してみたら見つかるかもしれませんよ(^o^)
      ルアー作りの参考になると思います(^^)

      「今時の若者はなってない」というような台詞は古代エジプトの壁画にも書かれていたとか。

      たぶんずっとずっと昔から言われているんだと思います(^o^)

  6. 新横浜の佐々木 より:

    お、ラパラネタ。
    結局、一番釣れるから芦ノ湖ではラパラF13投げちゃいます。久しぶりにラパラ解体新書読んでみます

    1. しげる より:

      新横浜の佐々木さん
      結局一番釣れるからラパラ投げる!

      ラパラ、やっぱりすごいですね!

      釣れるからこそずっと売れてずっと残っているルアーなんだと思います。

      ラパラ解体新書お持ちなんですね!
      さすがです(^o^)

  7. 花屋のいちろー より:

    良い値段するのもわかりますね!。有名なラパラのルアー達の内部構造が載ってるんですもんね!!。ルアーを作りをやっている者としては1度は読んでおいても損……いゃ、読まなきゃいけない本ですね!!!。きっと、色々と目から鱗なんだろぉなぁ(*>∀<*)ノ。でも、6700円かぁ( >Д<;)
    ラパラさんに申し訳なく、内容にモザイクかけるあたり、しげるさんの人となりが現れてますねぇ(*´ω`*)

    1. しげる より:

      花屋のいちろーさん
      本当は定価だとそんなにしないんですが、絶版なのでプレミア的な価格になったりしています(^^;)

      ハンドメイドルアー作りの本などもかなり以前に出版されたものはすごく高くなったりしています(>_<) 図書館の活用をオススメします! (あと、新横浜の佐々木さんが持っているようです(^^)) ラパラのルアーの内部構造は衝撃でした! ルアー作りをしているものとして全て公開は出来ませんでした(^^;)

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